Research

有機色素化合物は光吸収・発光・光電子移動などの様々な機能を示す物質です。例えば、光合成を駆動させる色素分子は自然界で機能する有機分子の一つです。また、染料や顔料などの色素分子も人々の生活を支える重要な有機分子です。これらの分子は集合様式によってもその機能が変化します。私たちは新しい有機色素分子の設計と合成を行い、その分子が集まった超分子の構造制御を行うことで、これまでにない機能をもつ物質の創製に取り組んでいます。

研究テーマ

  1. 新規有機分子・超分子の合成と機能開拓
  2. 生物の光合成を模倣した分子集合体の創製
  3. 光波長変換材料の開発

最近の研究

① 有機色素と希土類錯体が集合した超分子

ポルフィリン色素と希土類錯体から構成されるカゴ型超分子の合成に成功しています。このカゴ型超分子は生体透過性の高い光である近赤外域で発光し、芳香族フッ素化合物をカゴ内部に取り込むことで、大気中においてその発光強度を増大させることを見出しています。特定の分子を認識して、近赤外域の発光強度を変化させる魅力的な分子です。

【研究成果】
S. Hosoya, S. Shoji*, T. Nakanishi, M. Kobayashi, M. Wang, K. Fushimi, T. Taketsugu, Y. Kitagawa, Y. Hasegawa*, “Guest-responsive near-infrared luminescent metal-organic-cage organized by porphyrin dye and Yb(III) complex,” Inorg. Chem., 63, 10108–10113 (2024).
庄司 淳, 細谷祥太, 長谷川靖哉, 北川裕一, 伏見公志, 「希土類錯体、発光材料、光増感剤、及び酸素センサー」, 特願2022-035633 (2022年3月8日出願).

② 光合成の光捕集アンテナを模倣した超分子ナノ構造体

光合成生物の光捕集アンテナ部に利用されているクロロフィル色素(葉緑素)を原子・分子レベルで構造と機能を模倣することで、天然と同様の様式で分子が自発的に集合した超分子構造体を形成させることに成功しています。また、その分子集合体がカーボンナノチューブやグラフェンを彷彿とさせるようなナノ構造を形成することも興味深い性質です。

【研究成果】
S. Shoji*, T. Ogawa, T. Hashishin, S. Ogasawara, H. Watanabe, H. Usami, H. Tamiaki*, “Nanotubes of biomimetic supramolecules constructed by synthetic metal chlorophyll derivatives,” Nano Lett., 16, 3650–3654 (2016).
S. Shoji*, T. Ogawa, S. Matsubara, H. Tamiaki*, “Bioinspired supramolecular nanosheets of zinc chlorophyll assemblies,” Sci. Rep., 9, Article number: 14006 (2019).
S. Shoji*, V. Stepanenko, F. Würthner*, H. Tamiaki*, “Self-assembly of a zinc bacteriochlorophyll-d analog with a lipophilic amide group in the 17-substituent,” Bull. Chem. Soc. Jpn.95, 1083–1085 (2022).