研究内容
研究テーマ1:歩行評価システムの開発と地域在住高齢者を対象とした実証研究
高齢者のフレイル対策を目的とした歩行評価デバイスの開発に取り組んでいます。インソールに圧力センサを搭載し、日常生活や健診の現場で活用できる歩行計測システムとして開発を進めています。これまでに複数の市町村と連携し、社会貢献活動の一環として実証実験を実施してきました。現在までに2,000名以上のデータを収集し、機械学習を活用した多角的なデータ解析を行っています。さらに、より若い世代を対象とした日常歩行計測用スマートインソールシステムへと発展させる取り組みも進めています。

研究テーマ2:日常生活中の生体モニタリングのためのセンシングウェアの開発
本学工学部情報エリアの才脇直樹教授と共同で、呼吸や身体運動をセンシングできる衣服一体型のセンシングウェアの開発に取り組んでいます。本ウェアは、プリンテッドエレクトロニクス技術や静電容量型の特殊なセンサ技術を活用し、運動や呼吸の生体の動きや変形による伸縮情報を電気信号として検知することが可能です。また、日常の衣服に直接印刷でき、洗濯にも対応する設計となっています。これにより、装着時の違和感を軽減し、日常生活だけでなく睡眠時の計測も可能になります。さらに、スポーツや介護現場など、幅広い分野での応用が期待されています。
加えて、生体センシング情報を活用した環境制御技術や、コミュニケーションロボットによるフィードバック機能など、応用技術の開発も進めています。これらの技術を通じて、より快適で安全な生活環境の実現を目指しています。

研究テーマ3:介護食の質向上のための食感拡張システムの開発
人間が“おいしさ”を感じる要素は、味・香り・食感の組み合わせによってもたらされます。介護食は、嚥下や咀嚼機能が低下した方の誤嚥リスクを低減するために、食品を細かく砕いたりゼリー状に加工したりする必要があります。しかし、その過程で食感が損なわれ、食事への意欲が低下するという課題があります。
そこで、聴覚情報を活用して食感を補完する“食感拡張システム”の開発に取り組んでいます。聴覚を通じて食感を向上させることで、食事の満足感を高め、ひいては生活の質(QOL)の向上につながると考えています。この研究は、介護食の課題を解決する新たなアプローチとして、大きな意義を持つものと期待されています。