ドイツ・エンジニア連盟 女性エンジニア組合会長 [Verein Deutscher Ingenieure e.V.(VDI) Vorsitzende Netzwerk „Frauen im Ingenieurberuf“] ブルグヒルデ・ヴィーネケ-トゥタウィ工学博士が工学部に来校されました。
ヴィーネケ・トゥタウィ博士は、長くドイツの工学会を率いてこられた方です。
ベルリン工科大学教授・副学長やブランデンブルグ工科大学の学長も歴任され、若きエンジニアの育成にも携わってこられました。現在は、全独で訳13万5千人の会員を誇るドイツ・エンジニア連盟(VDI)の女性エンジニア組合で会長を勤められており、エンジニアとして働く女性のサポートやキャリア推進、STEM(理系)フィールドでの女性の躍進に尽力されています。また、フンボルト大学(ベルリン)で再び学生として東アジアの地域研究を専攻されているそうです。
今回のご訪問では、藤田教授(工学部学部長)と会談され、工学部発足の動機や学習の構造について、また、どのようにSTEMでの女性の活躍を後押しするか、どのように学生と関わっていけばよいか、などについて意見交換と議論がなされました。
また、工学部の令和四年度新入生から有志で集まっていただいた学生たちと、プレゼンテーションも交えた交流会を実施しました。
その他、DMG MORIとのコラボ講義「先端設計生産工学概論」を見学され、DMG MORIより出講してくださっている小林さんと会談されたり、
NMR実験室、生体医工学実験室、人工気候室などの実験室も視察され、学生や教職員との交流を楽しまれていました。
新入生との交流会 – 日本・ドイツの現状、Women in STEMについて意見交換
まずヴィーネケ・トゥタウィ博士からは、Women in Engineering & STEM in Japan (工学・理数系での女性の活躍、日本の現状について) ドイツや世界との比較を交えてプレゼンテーションをしていただきました。
ドイツの工学会での女性の活躍やその課題について、また日本の現状について、ご説明やご意見をいただきました。
特に日本社会では、まだまだ女性のSTEM領域(S-Science, T-Technology, E-Engineering, M-Mathematics)での活躍が抑制されているのが現状です。本学工学部は学生の全員が女性ですが、しかしそんな中でも工学部の新入生たちは未来への希望を持っており、「これからは性差は問題にならないし、負い目を感じることは無い」との意見があがると、ほとんどの参加学生が頷いていました。
現状をみつめる工学部生の眼差しからは、未来を変えていく力や希望を感じることができ、ヴィーネケ・トゥタウィ博士も興味を持って耳を傾けられていました。
その後工学部の学生は価値創造演習での成果や制作物についての紹介がありました。
大学祭で工学部から展示・発表されたいくつかのプロジェクトに携わった学生が説明をしてくれ、時折質問をされながら興味深く聞かれていました。数名の学生は、造形基礎演習でレーザーカッターを用いて制作した椅子を見せ、デザインのポイントなどを紹介していました。ヴィーネケ・トゥタウィ博士は笑顔で聞き入っておられ、学生の興味関心について質問などをされていました。
訪問を終えて
ヴィーネケ・トゥタウィ先生には、ドイツで実施され成功例のある、STEMでの女性のキャリア・サポートプログラムの構築について詳しくご説明やご案内をいただき、工学部としても大変実りのある出会いとなりました。交換留学への意欲も示され、未来の話ではありますが、実現できればと思いました。年齢や性別にかかわらず学び、教え、奔走されるお姿にたくさんのインスピレーションをいただきました。
個人的には、先生が「先端設計生産工学概論」を訪れられた際に、目を輝かせて「私は、機械工学についての授業で教室がこんなに女性受講者でいっぱいになっているところを人生で初めて見た」と大変喜ばれた場面があり、とても心に残っています。
ドイツでも工学系技術者を女性が占める割合が3割に満たないなど厳しい現状があり、これまでの道のりは簡単ではなかったはずです。長く女性の工学系人材の育成のために奔走されてきた博士の笑顔が見られ、工学部開設の意義を実感しました。同時に、未来への希望を感じる出会いとなりました。こらからも協力関係築き情報交換をしていきたいと思います。
ゲストのご紹介
Prof. Dr.-ing Burghilde Wieneke-Toutaoui
ブルグヒルデ・ヴィーネケ-トゥタウィ工学博士
ドイツ・エンジニア連盟(VDI) 女性エンジニア組合 現会長
ドイツ・エンジニア連盟(VDI) ベルリン-ブランデンブルグ州 前支部長、ブランデンブルグ工科大学 学長(2013-2019)、ベルリン工科大学教授(2009-2013)・副学長(2003-2011)などを歴任。