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山本健太郎准教授 プレスリリース:超⾼容量かつ低コストの鉄系全固体フッ化物イオン⼆次電池正極材料の開発

京都⼤学⼤学院⼈間・環境学研究科 ⼭本健太郎 特定准教授(現:奈良⼥⼦⼤学研究院⼯学系准教授)、内本喜晴 教授らの研究グループは、量⼦科学技術研究開発機構、東京⼤学、兵庫県⽴⼤学、東京科学⼤学、トヨタ⾃動⾞株式会社と共同で、リチウムイオン⼆次電池※1正極容量をはるかに超える全固体フッ化物イオン⼆次電池※2新規⾼容量インターカレーション※3正極材料の開発に成功しました。

本研究では、ありふれた鉄(地殻存在度 4 位)、カルシウム(地殻存在度 5 位)、酸素(地殻存在度 1 位)を主成分とする Ca0.8Sr0.2FeO2Fxが既存のリチウムイオン⼆次電池正極材料の 2 倍を優に超える 580 mAh g‒1の可逆容量を⽰すことを⾒出しました(図 1)。この材料は、当初無限層構造※4 を有しており、フッ化物イオンの挿⼊・脱離機構を X 線吸収分光法、共鳴⾮弾性 X 線散乱法※5、X 線回折法などさまざまな分析技術を⽤いて多⾓的に解析した結果、フッ化物イオン挿⼊時に構造内で分⼦状酸素を形成する(酸化物イオンの電荷補償を活⽤する)ことで、結晶構造から予想されるよりも遥かに多くのフッ化物イオンを可逆的に挿⼊可能であることを明らかにしました。電気⾃動⾞⽤の電池の⼤規模なニーズに対応するためには、希少⾦属の使⽤はできず、希少⾦属であるリチウムを⽤いることなく、負イオンである酸素の価数変化を⼤規模に活⽤する超セラミックス※6正極材料により、従来の正極材料と⽐べてはるかに⾼容量を実現できたことから、蓄電池の⾰新が起こる可能性を⽰しました。

本成果は、2025 年 6 ⽉ 17 ⽇にドイツの国際学術誌「Advanced Energy Materials」にオンライン掲載されま
した。

▶プレスリリース:超⾼容量かつ低コストの鉄系全固体フッ化物イオン⼆次電池正極材料の開発

https://eng.nara-wu.ac.jp/wp-content/uploads/2025/07/3a3fdbbcf5c6683d2b215a03a5efc1cbc5c05af4.pdf

研究者紹介

山本 健太郎 (YAMAMOTO Kentaro) 准教授

研究者総覧 研究者HP twitter |無機材料化学、電気化学

奈良女子大学工学部